病院機能評価とは?メリットやチェック項目、価格、審査の流れを紹介
著者: そだねー
更新日:2022/12/08
公開日:2022/12/08
病院機能評価は、病院を客観的に評価する取り組みのこと。病院の品質を向上する目的で、日本医療機能評価機構が実施しています。一定の水準を満たすことで認定病院としてPRできるため、患者からの信頼を得るのに役立ちます。本記事ではそんな病院機能評価のチェック項目やメリット・デメリット、審査の流れ、料金について紹介します。
目次
病院機能評価とは
病院機能評価とは、病院で提供されている診療やケアについて、日本医療機能評価機構が行う審査です。
第三者の立場から評価することで、病院の質を向上させ、国民が安全・安心な医療を受けられる環境を整備することを目的としています。
病院機能評価は下記の4つの大きなカテゴリに分けて実施されています。それぞれの評価項目にもとづいて病院全体の運営・管理がされているか、適切な医療が提供されているかを判断します。
1領域 「患者中心の医療の推進」
2領域 「良質な医療の実践1」
3領域 「良質な医療の実践2」
4領域 「理念達成に向けた組織運営」
病院機能評価のメリット・デメリット
病院機能評価には、メリットもあれば、デメリットもあります。下記に説明する両方の内容を理解した上で、受けるかどうかを判断するとよいでしょう。
メリット
・病院の問題点が明らかになることで、改善するためのきっかけになる
・審査結果報告書の内容を基に、具体的な改善目標を設定できる
・改善点や評価点が明確化することで、職員の改善意欲向上につながる
・認定証が発行されるため、患者さんからの信頼を得られる
病院機能評価のメリットは大きく分けて2つ。病院全体の改善へ向けた意識や動きが高まりやすいことと、患者さんからの信頼を得られやすいことです。
病院機能評価により第三者の視点から問題点を洗いだしてもらうことで、今まで気づかなかった課題が明らかになります。また課題だけでなく、客観的に良いと認められる点も明らかになるため、職員のモチベーションアップも期待できます。改善点、評価点が明らかになることで、改善への意欲が向上し、次のアクションも明確になるでしょう。
また、病院機能評価で認定されると、認定証が発行されます。2022年11月16日時点で認定されている病院数は2023件です。全国の病院数が8,236件であることを考えると、1/4の病院しか認定されていない計算になります。認定証があることで他の病院との差別化につながり、患者からの信頼獲得も期待できるでしょう。
デメリット
・審査に料金がかかる
・審査のための準備が若干多い
・最終的な審査結果がでるまで3ヵ月以上かかることもある
病院機能評価のデメリットには、高額な審査料金と審査にかかる手間が挙げられます。
病院機能評価を受けるためには、本体審査料金として約150万円~約550万円必要です。また審査する副機能が増えるごとに料金も追加されます。一度認定されても5年ごとに更新が必要なので、最低でも5年に一回は同様の費用が発生すると考えましょう。
また書面審査のための書類作成など、院内で準備しなければならないことも多いため、手間もかかります。忙しい合間を縫って、審査の準備をするのはハードルが高いともいえるでしょう。
病院機能評価の審査の流れ
病院機能評価には「本体審査」と「高度・専門機能」の2つの審査があります。それぞれの審査の流れについて解説します。
・本体審査
・高度・専門機能の審査
本体審査
病院を機能別に分類して評価する審査です。以下の4つの流れで進みます。
1.申込
2.受審準備
3.書面審査
4.訪問審査
5.それ以降
本体審査ではそれぞれの評価項目がS・A・B・Cの4段階で評価されます。また、申し込みから訪問審査までは4ヵ月以上かかります。
1.申込
日本医療機能評価機構のHPから病院機能評価を申し込みます。
認定更新受審の場合は、受審予定月の1年6ヵ月前から6ヵ月前まで申し込みが可能。認定有効期限の1年前から審査を受けられるので、5年の有効期限を過ぎてしまわないよう逆算して申し込みましょう。
2.受審準備
申し込みが完了すると受審準備です。院内に専門チームを立ち上げて、スケジュール調整や書面審査に必要な自己評価調査票の作成、病院資料・現況調査票などの手配を行います。
3.書面審査
提出した資料をもとに書面審査が行われます。主に自己評価調査票・現況調査票を基に、病院の現況について審査されます。
4.訪問審査
訪問審査は事前に決定したスケジュールで実施されます。期間は2日間です。
1日目は書類確認や面接調査、部署訪問を、2日目は合議会議及び意見交換などを行います。
5.それ以降
訪問審査後、中間報告がでるまでには6~8週間かかります。中間報告で最低評価の「C」がある場合は「補充的な審査」が必要です。中間報告がすべて「B」以上の場合、評価部会・評価委員会・運営会議での審議後、認定可否を決定します。
認定されると認定証や認定病院ポスターが送付されます。
高度・専門機能の審査
「救急医療・災害時の医療」「リハビリテーション」に特化した審査です。受審には、認定病院または病院機能評価の受審に加えて、各分野の要件を満たす必要があります。高度・専門機能の評価はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの4段階です。
高度・専門機能の審査は以下の流れで進みます。
1.申込
2.書面審査
3.訪問審査
4.それ以降
1.申込
本体審査と同じように、日本医療機能評価機構のHPから病院機能評価を申し込みます。
「救急医療・災害時の医療」と「リハビリテーション」で窓口が異なるので注意しましょう。
.2書面審査
病院機能の現況調査と事故調査票などによる書面審査が行われます。書面審査は病院のことを事前に把握し、訪問審査に活用する目的で実施されます。
3.訪問審査
実際に病院を訪問して審査が行われます。
「救急医療・災害時の医療」「リハビリテーション」のどちらで審査するかによりスケジュールが変化しますが、どちらも1日で審査は完了です。
4.それ以降
訪問審査から6~8週間後に中間報告が発表されます。中間報告で評価に「Ⅳ」があった場合は、補充的な審査が必要です。すべての評価が「Ⅲ」以上の場合は、評価部会・評価委員会・運営部会での審議後、認定の可否が決定します。
認定されると認定証・認定病院ポスターが送付されます。高度・専門機能も本体審査同様に有効期限は5年間です。
病院機能評価の価格一覧
病院機能評価を受審するためには評価料が必要です。
※2023年4月に改定予定。下記はすべて改定後の料金。
本体審査
主たる機能種別 | 審査体制区分 | 評価料(税込) | 評価調査者 |
---|---|---|---|
一般病院1 一般病院2 リハビリテーション病院 慢性期病院 精神科病院 緩和ケア病院 |
区分1 | 1,485,000円(申込金 370,000円) | 3名 |
区分2 | 1,848,000円(申込金 460,000円) | 3名 | |
区分3 | 2,695,000円(申込金 670,000円) | 6名 | |
区分4 | 3,058,000円 (申込金 760,000円) | 6名 | |
一般病院3 | – | 5,588,000円(申込金1,400,000円) | 9名 |
副機能(1種別につき) | 評価料(税込) | サーベイヤー | |
主たる機能種別と同時 | 242,000円 | 1名 | |
認定期間中(後日) | 616,000円 | 2名 |
高度・専門機能
審査内容 | 評価料(税込) | サーベイヤー |
---|---|---|
救急医療・災害時の医療 | 880,000円 | 3名 |
リハビリテーション機能(回復期) | 880,000円 | 3名 |
その他の審査
審査名 | 審査方法・その他手数料 | 評価料(税込) | サーベイヤー |
---|---|---|---|
補充的な審査 | 書類等 | 99,000円 | 1名 |
訪問/web | 209,000円 | 1名 | |
341,000円 | 2名 | ||
473,000円 | 3名 | ||
再審査・確認審査・改善審査 | 書類等 | 154,000円 | 1名 |
訪問/web | 330,000円 | 1名 | |
462,000円 | 2名 | ||
594,000円 | 3名 | ||
更改審査 | 現地訪問 | 418,000円 | 3名 |
契約更改の事務手数料 | 11,000円 | – | |
認定証の再発行手数料 | 22,000円 | – |
病院機能評価を活用して改善意欲を高めよう
病院機能評価は、病院の品質の向上、医療サービスの向上を目的として実施される審査です。中立的な第三者機関に評価してもらうことで、今まで気づかなかった問題点にも気づけるのがメリット。病院の課題を明らかにすることで、病院全体の質向上や改善意欲の向上に役立つでしょう。
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著者プロフィール
そだねー
北国出身。前職はコールセンターの採用を担当し、ソラストに転職後、医療事務採用業務に6年従事している。営業や現場とのパイプを持ち、日々変化し続ける医療事務の情報をキャッチアップすることに強みを持つ。